おどろきの仕事場・・・
竿師さんの仕事場はいろいろ見てきましたが、ここまで整理整頓出来ている仕事場が初めてでした。
「至峰」さん曰く停電になっても暗闇でも全て分かるとの事でした。
何しろ棒やすりにしましても一列に寸分狂わず綺麗に並んでいる姿は気持ちが良いです。
それと自作工具を改良して竿造りに応用されております。
至峰さんの手記からですが「込みの雄の方を削る機械(工具)」が一番のヒットと書かれております。
従来この部品の作業は、大半の方はロクロに竿を挟み、ヤスリで削っていたのでですが結果はあまり良くなかったようです。
これをいかに正確に出来る工具が作れないか・・・いろいろ試した結果グラインダーを固定して置きV型の上に竹を乗せ、手で回転させる。
V型の中で竹が上下して、出っ張りを削ってゆくと言う按配。
グラインダーで削ってみると、竹は焦げるばかりで削れません、しかしこれさえ解決出来ればきっと上手くゆく自信がでました。
いろいろ試した結果上手く込を正確に仕上げられる様になった。
「至峰」さんの込みは本当に狂わず素晴らしいと思った次第です。
また洗濯機のモーターを利用して中抜き用のドリルを作ったり、穂先の差し込み用に戸車を10本並べてそれを錐を埋め込んだドリル作ったり・・・いろいろ工夫された結果遅れることもなく仕上げられたのは「至峰」さんだけではなかったかと思います。
やはりお客様の信用が一番ではないかと思っていたのではないでしょうか。
現在では「至連」さんが期日までに仕上げることが出来る竿師さんと思います。
一番の驚きは、それは小さな引き出しの中からおもむろにこれ分かりますよね、これは蛇口に付けるナイロン糸・・・別に何かと思いましたがそれは柴舟さん今に目が悪くなり60・70になったら目が悪く見えなくなるでしょ。
だから若いうちに一生分の「蛇口」を作っておりますとのこと。
蛇口はただ単に2~3センチ切ったのではなくナイロンの先端を削っていかに段が付かない様にしております。
ナイロン糸の5号前後の先端をテーパーを付けて削る作業を30年先を見据えて作っておく・・・
自分は将来を見据えて竿造りをしている姿勢が心を打たれました。
また「火入れ」にしても何時から何時までしか火入れをしません。
それは太陽は東から上がる、だから東に向かって竿を持ち太陽の傾きで火入れをする。時間によって見づらくなります。一番見やすい時間だけ火入れをする。夏と冬では火入れの時間帯も変わるとのこと。
理にかなった仕事ぶり・・・これが職人と思えた次第です。
修理に関してもきちんと次の竿を仕上げるまでには必ず仕上げる・・・大事なことと思いました。
是非他の竿師さんも約束を守ることと修理に関しても見習ってほしいと感じました。